Apple MusicとLINE MUSICは、「身の回りにApple製品が多くある」「LINEモバイルを契約している」といったようなケースごとにサービスの使い勝手が変わってきます。契約の前に、自身の状況がどちらに当てはまるのかをしっかりと確認しておきましょう。 Apple Musicは有料プランのみなのに対して、LINE MUSICには有料のプレミアムプランと無料プランがあります。無料トライアル期間はどちらも1カ月なので、無料期間を体験してから、決めるのも良いでしょう。 なお、iCloudストレージ(50GB)だけでも130円かかるため、iCloudストレージを拡張している人は、Apple Musicを登録するだけでApple TV+とApple Arcadeが付いてくると思いがちです。しかし、Apple Oneには年間プランがないので、50GBのiCloudとApple Musicだけの組み合わせなら個別に登録したほうが安くなります。 ただ、曲の再生時間が各曲30秒に限られていることや、歌詞の同期表示、myBGM設定、オフライン保存などが利用できないなどの制限があります。全曲通して聴けないので、日常使いには向きません。期間無制限のお試し機能ととらえたほうがよいでしょう。 一方でLINE MUSICのランキングは、限定的な規模にとどまりますが、個性的です。種類としては「ソング Top 100」「ミュージックビデオ Top 100」「BGM & Melody Top 100」「Profile MV Top 100」「カラオケ Top 100」「アルバム Top 100」など10種類です。 「BGM & Melody Top 100」や「Profile MV Top 100」はLINEのプロフィールに設定されている曲やMVのランキング、「カラオケ Top 100」はLINE MUSICのカラオケ機能で歌われている曲のランキングです。LINEを愛用するユーザー内のトレンドに敏感な内容と言えます。 ロスレスオーディオは、オリジナル音源とほぼ同じ音質で再生できる高音質モードです。楽曲によっては、さらに高音質な「ハイレゾロスレス」にも対応しています。ロスレス、ハイレゾロスレスを配信しているサブスクリプションサービスは少数しかなく、Apple Musicはこの点で大きな存在感を持ちます。 またドルビーアトモスは、3D音源を体感できる空間オーディオです。AirPodsなどの対応イヤホン/ヘッドホンでは、空間オーディオが自動で再生され、その他のイヤホン/ヘッドホンでは、自身で設定をすれば空間オーディオが利用できます。 ロスレスやドルビーアトモスはデータ量が多いので、Wi-Fi接続が推奨されます。モバイル通信時に聴くときは、最大256kbpsの音質でも楽しめます。こちらはiTunes Storeで購入可能な楽曲と同じAACです。 こちらはサブスクリプションサービスの中では標準的な内容です。Wi-Fi環境でもモバイル環境でも不足を感じることはないはずです。 オンデマンドのため時間を気にせず好きなときに楽しめるのが「ラジオ」のよいところです。今のところ、「ラジオ」のためにApple Musicに加入するという人は少ないでしょうが、ゲストで訪れたアーティストとの対談や、プレイリストと連動した音楽を楽しむなど、音声+音楽で1エピソード約1時間の濃い時間を楽しめます。 また、CellularモデルのApple Watchを持っているなら、iPhoneがなくてもApple Watch単独でApple Musicを聴くことが可能です。GPSモデルであっても、アプリをいちいち操作せずにApple Watch上で楽曲を再生でき、慣れてしまうと手放せません。 そのほか、Apple TV、HomePod、さらには対応のカーナビまで、Apple Musicを楽しむさまざまな機器が用意されています(ただし、複数の端末で同時に再生するにはファミリープランが必要です)。 また、LINEプロフィールとの連携だけでなく、トークやタイムラインへ音楽をシェアしやすいので、LINEのユーザーに音楽を紹介したいときなどに便利です。 ボーカルの除去率は調節可能なので、慣れない曲でも練習しやすくなります。得点こそ表示されませんが、テレワークなどで自宅にいる機会が増えた今、LINE MUSICなら家で一人カラオケを存分に楽しめます。 また、データフリーオプション「SNS音楽データフリー」に加入することで、LINE MUSICがデータフリーになります。モバイル接続でどれだけ聴いても通信量がかかりません。いちいちダウンロードする手間が省け、8800万曲全部を自由に取り出せるようになります。 ただ、残念ながらLINEモバイルの新規受付はすでに終了しています。現時点では連携機能などはないものの、今後、LINEMOでのキャンペーン展開があることを期待しましょう。 たとえば、iCloudミュージックライブラリをオンにすると、iTunesから同期ができなくなります(ライブラリにある曲がすべてクラウドにアップロードされ、各デバイスでダウンロードする必要があるため)。これは一例ですが、他の音楽配信サービスと比べて少し複雑な面があります。 ロスレスオーディオを再生するには、iOSまたはiPad OS 14.6以降、MacならmacOS 11.4以降にアップデートした上で、今は同梱されていない「Lightning - 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ」を利用してスピーカーやヘッドホンに接続します。サンプリングレートが48kHzを上回る曲を本来の音質で再生する場合は、デジタル/アナログコンバーター(DAC)を内蔵したアダプタが必要です。 曲数は8800万曲とApple Musicとほぼ変わらないのですが、洋楽はApple Musicよりも少なめです。ランキングなどに表示される洋楽も限定的なので、新しい洋楽との出会いを積極的に求めるタイプの人には不向きかもしれません。洋楽メインで聴きたいなら、タイトルなどを検索してラインアップを確認することをおすすめします。 最後に、それぞれのサービスに向いているのはどんな人なのかをまとめてみました。 またiPhoneやMacのユーザーなら、他にもAppleの製品を利用しているかもしれません。Apple Musicは、Apple製の多くの機器で再生可能です。部屋のあちこちに置いてあるデバイスを通じて音楽を楽しむことができ、スマホ以外でも音楽をよく聴く人にも最適です。 また、中高生なら学生プランが利用できるLINE MUSICがおすすめです。Apple Musicは実質大学生以上でなければ学生プランを利用できません。利用料金をぐっと抑えるならLINE MUSIC一択です。 LINEモバイルを利用している場合は、「SNS音楽データフリー」を組み合わせて、データフリー化できます。どこでも通信量を気にしなくてよいので、音楽を聴く時間が長い人ほどおすすめです。